○歯のコラム 2013年10月 「食べる機能は6歳臼歯しだい」
6歳臼歯は「歯の王様」と呼ばれるとても重要な歯です。
今回はなぜ6歳臼歯が大切なのかをお話したいと思います。
「食べる」という行為は、捕食、咀嚼、嚥下という一連の流れの中で進んでいきますが、歯がもっとも関係するのは咀嚼です。そして6歳臼歯が咀嚼に大きな役割を果たしていることは、咬合力と咀嚼効果から理解できます。
〇6歳臼歯は咬合力がもっとも大きい
筋肉のはたらきの結果として上下顎の対合する歯の間に生ずる力が咬合力です。6歳臼歯の最大咬合力は、健常な成人男性の平均値で約60kgに達します。第一小臼歯ではその1/2、犬歯では1/3、中切歯では1/6ていどになり、永久歯の中で圧倒的に大きな力を生み出します。
〇6歳臼歯の欠損で、咀嚼効率は明らかに低下する
咀嚼効率は、食品を同じ程度に粉砕するために必要な正常歯列者の平均咀嚼回数と、ある被験者が必要とした咀嚼回数の比率をパーセントで表したものです。6歳臼歯を1歯欠損しただけでも、咀嚼効率は2/3以下に落ちると言われています。
以上のことから、6歳臼歯を健全に保つことは、「生涯を通じて食べられる」につながることが理解できると思います。咀嚼運動を妨げる要因としては、う蝕、咬合異常、口腔悪習慣、舌の異常、歯の萌出異常、顎の骨格や顎関節の異常、外傷、鼻疾患、全身疾患、生活環境などがあり、数が多いほど咀嚼効率は低下することになりますので、食べる機能からみても、う蝕予防はとても重要なのです。
シオノデンタルクリニック 歯のコラム 2013年10月掲載分