○歯のコラム 2014年4月 「花粉症で歯痛に。意外な関係」
〇鼻に強い炎症を生じると、奥歯の根の先が刺激されて痛みが
今回は花粉症で歯が痛くなるかもしれないというお話です。花粉症による鼻炎や、いわゆる「鼻にくる風邪」では、急性鼻炎を起こす場合があります。典型的な症状として、鼻水の増加や花粘膜の肥厚(腫れ)、粘膜が腫れて膨らむことによる鼻閉感(鼻づまり)、鼻水が喉に垂れこむために痰(たん)が絡んで咳が出る、などです。鼻炎になると鼻の穴の中だけでなく、鼻とつながっている各所にも炎症を生じます。
目の下で鼻の横、ちょうど頬(ほほ)の辺り、上あごの骨の中に「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があります。この空洞は鼻腔とつながっていて、空洞の内側は鼻腔と一続きになった鼻粘膜が裏打ちしています。
この上顎洞に炎症が生じ、たくさんの鼻汁が溜まった状態や、腫れた鼻粘膜が空洞内に充満した状態を「上顎洞炎」と言います。いわゆる「蓄膿(ちくのう)症」のことです。
上の奥歯の根の先はちょうど上顎洞の底に位置しているため、鼻に強い炎症を生じると歯根の先が刺激されて、まるで虫歯のような歯痛を生じることがよくあります。
この場合の歯の症状としては、「咬むと痛い」「歩いたりすると響くような感じがする」が多いです。虫歯ではないため、「冷たいものが滲みる」などの症状は通常出ません。鼻炎による歯痛なのか、虫歯による普通の歯痛なのかはレントゲン写真を撮ればわかります。
花粉症や風邪をひいた後で上の奥歯が痛い場合は、一度診療にいらしてくださいね。。
シオノデンタルクリニック 歯のコラム 2014年4月掲載分