○歯のコラム 2016年11月 「喫煙と歯周病」
喫煙習慣のある歯周病の患者さんは歯肉からの出血がしにくくなります。
しかし、禁煙開始から数週間すると、歯肉から出血が起こりやすくなります。
これは喫煙によって抑制されていた炎症反応(防御反応)が正常に起こるようになったことが原因です。体が正常な反応をしているのですから、心配は要りません。
そもそも、喫煙が歯周病のリスク原子であることは多くの研究で認められています。
タバコ成分の影響で、歯肉血管の障害、免疫機能の低下、歯周ポケット内での嫌気性菌の増殖が起こるため歯周病が進みます。数年間喫煙すると、歯肉の表面は釉薬(陶磁器[とうじき]の表面をガラス質にするためにかける薬品のことです。表面をなめらかにし、液体や気体がしみこまないようにすることができます。)を塗ったような光沢を放ち硬くなります。
しかし、ブラッシング時に出血がほとんどないため、気づかないうちに重症化することが多いのです。
喫煙約1年後には、このように肥厚していた歯肉の形態がより正常に近づき、歯周病は安定した状態になります。さらに、喫煙によって歯周病の治療効果が高まることもわかっています。
歯周病の改善に禁煙は大前提となります。禁煙で歯肉が必ず改善していきます。
喫煙により低下した免疫系を回復できるわけではありませんが、日々ていねいに清掃を行うことが大切です。
シオノデンタルクリニック 歯のコラム 2016年11月掲載分