○歯のコラム 2017年12月
「転んだ!ぶつけた?子どもの歯のケガ」
◎痛みや出血の有無だけで判断しないで!
お子さんが転んで歯をぶつけて「血が出ている」「痛いと泣いている」という場合、保護者の方は迷いなく歯科を受診されると思いますが、そうではない場合→「出血がない」「痛みがすぐに治まった」という場合は、「歯科医院に連れて行くほどのケガかな?」と迷うこともあるようです。
ですが、実はこうしたケースこそ要注意。血が出ていなくても、歯の根っこ(歯根)や、歯の周りの組織(歯周組織)、ぶつけた歯が乳歯なら永久歯の芽にダメージが及んでいることがあるんです。また、しばらく時間がたってから痛みが生じることもあります。
そうした外からは見えない部分へのダメージは、エックス線写真などを用いた専門家による検査が不可欠。ですから、出血や痛みがない場合もぜひ歯科を受診して、検査を受けてもらえればと思います。
◎ケガに影響はあとになってわかることも。
手や足をケガして治療を受けた後は、完治するまで定期的に病院に通って経過観察を受けますよね。歯のケガの治療もそれと同じで、ケガをした歯には長期的な経過観察が必要となります。特に歯のケガの場合、受傷直後にはわからないけれど、時間がたつと見えてくるトラブルがたくさん。
たとえば歯の根っこは、ぶつけたときにヒビが入っていることがあります。しかし、その亀裂がほんのわずかな時、エックス線写真でも検出はほぼ不可能です。何日間または何週間か経ち亀裂が広がって、はじめて「歯の根っこが破折している」と検出できます。
また、乳歯の奥でつくられている永久歯が、ケガのダメージによりうまくつくられなかったり、変形してしまうこともごく稀に起こります。
このようなトラブルには、受傷後数週間でわかるものもあれば、数カ月かからないと「大丈夫ですね」と太鼓判が押せないものもあります。すべてのトラブルの芽が出尽くすのにかかる年月は約1年間。ですから最低でも1年は、経過観察のための定期受診が必要となります。
歯のケガによる目に見えない部分へのダメージや、あとになってわかるトラブルを見逃さないためには、歯科医院への受診と経過観察がとても大切。もしお子さんがいままで歯科医院に通っていなかったのでしたら、この機会に(できれば保護者の方も一緒に)、メインテナンスに通われてはいかがでしょうか?
シオノデンタルクリニック 歯のコラム 2017年12月掲載分